2019-05-11
ヨーロッパサッカーへの招待状
今から33年前。
真夏の太陽がじりじりと容赦なく照りつける暑い日に
私はサッカーを始めました。
父も祖父もレベルの高いチームで
サッカーをしていたので、
ボールを蹴って遊ぶ楽しみを覚えるまでに
時間はかかりませんでした。
痩せ型の私の周りには大きくてたくましい
異国籍の少年がたくさんいて、
速さも強さもすべて私よりも優れていました。
幼少の頃はただただボールを蹴り
楽しくプレーできればそれで満足でした。
練習が厳しいと思い始めたのは
10歳になった頃。
もちろん大好きなサッカーを続けることに迷いはなく、
練習に集中する日々が続きました。
13歳の頃、練習はさらに厳しくなりました。
ポジションはミッドフィルダーでしたが、
コーチにゴールキーパーをしてみないか言われ、
そのとき以来、孤独なポジションのGKが
私の定位置になりました。
16歳の頃、RCストラスブール(リーグ・アン)と
パートナーシップを結んでいた
アグノー(Haguenau)で週に4回、
プロ選手に混じって練習を始めました。
サッカーを始めたころ痩せっぽちだった私は、
体格も他の仲間たちと引けをとらず、
戦術だけでなくメンタル面も強くなっていました。
18歳の時に肩を怪我して手術をしましたが、
それでもフットサルのフランス代表に選ばれました。
二十歳の時にはロサンゼルス・ギャラクシーの
プロテストを受けました。
初日の出来がよくなく、二日目から
本調子を発揮することができましたが、
テストには合格することができませんでした。
それからはセミプロとしてプレーをし、
26歳のときにはドイツのチームでも経験を積みました。
この時までに2回の手術
6回の怪我を経験しましたが、
32歳まで試合に出場しました。
足の怪我をしてからは
選手からコーチへと転身し、
フランスサッカー連盟主催のコーチ資格を取得しました。
そのときの指導者はアレクサンデル・ヴェンツェル。
スロバキアの元サッカー選手です。
長いあいだサッカーに携わってきた私が思うこと、
それは、サッカーは進化し続けているということです。
日本では「将軍」と呼ばれている
ミシェル・プラティニ選手が活躍していた時代と
今では試合の流れの早さや強さがまったく異なります。
90年代から2000年代を代表するサッカー選手の一人、
ブラジル人のロナウド元選手は、
一人でシチュエーションや
試合を変えることができるスピード、
テクニック、頭の良さ、決断力のすべてを
持ち合わせている選手でした。
また、フランスの国民的スター、
ジダン元選手はエレガントで、
自分の足元にボールが来る前に、
どこにパスをすればいいかが分かっていました。
たくさんのスター選手のプレーを見て、
「僕も彼らのように素晴らしいプレーをしたい」と
夢見る少年たちもいるでしょう。
しかし、ある国では裸足でボールを蹴り、
生きるために、または家族のために
サッカーを始める少年たちもいます。
きっかけは様々ですが、
サッカーに対する熱意があることに
変わりはないでしょう。
また、進化しているのはサッカーの技術や
スピードだけではありません。
指導者に求められる期待も
もちろん大きくなってきていると言えます。
フランス人サッカーコーチとして
日本人の少年に伝授したいことは、
サッカーを楽しむこと、そして
ヨーロッパサッカーの直観力と想像力です。
ひとりのサッカー選手が90分の試合のあいだで
ボールに触れている時間は約2分と言われています。
さて、自分の足元にボールがない88分のあいだ、
あなたは何を考え、どのように行動しますか?
2018年のFIFAワールドカップで優勝した
フランスチームには移民の選手が多く含まれています。
彼らは身体が大きく、テクニックはもちろんのこと、
メンタル面もとても強いのです。
異なる人種の人たちと一致団結してプレーすることは
とても大切だということを私は自分の体験をもって知っています。
3位になったベルギーは、
15年程前まではベルギー人でのみ
チームが構成されていましたが、
ユース世代の育成改革が進み、
現在のメンバーには移民が含まれています。
日本はベスト16。
日本人のみで構成されたチームでのプレーは、
想像力に欠け、従順すぎるという点が残念なところです。
日本人のすばらしい精神力に
ヨーロッパサッカーのエスプリを足していけば
サッカーをとおして、きっと多くのことを
学ぶことができると思います。
ヨーロッパサッカーのメソッドを
実践したからといって、
すぐに成長するということはありません。
ですが、このメソッドがあなたにとって、
すべてが興味深く、今後のサッカー人生に
役立つということは保証いたします。
レアル・マドリード・ファンデーション
・フットボールスクール・宮崎都城校で
スペイン語や英語、そしてフランス語を学び、
サッカーをとおして一緒に広い世界を旅しましょう!
アシスタントコーチ
Benjamin Fenninger
タグ: サッカー
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